バスジャック　三崎亜記

これ良かった。読んで良かった。この人の作品もっと読みたくなったよ。

短編集の中身をちょっとご紹介。

「二階扉をつけてください」
二階扉とはなんなのか、そして主人公が二階扉をつけた結果・・・？
結構衝撃の結末でした。。これが長編の終わりだったら凹みそう。。

「バスジャック」
世の中でバスジャックが流行してるという設定。
色々なバスジャックの方法があって、ルールも決まってる。
バスジャックされた方も楽しんで、下手なバスジャック犯は客に反撃をくらうことになる。これもラストがまぁまぁ好き。

「しあわせな光」
めっちゃ短い。３ページくらいだったかな。その３ページに愛がぎゅっと詰まってる。実際読んで暖かい気持ちになった。よくありそうな設定だけどあたしは好き。

「二人の記憶」
あるカップルの話。ある日二人の過去の記憶が食い違っていることに気付く。
1人はこのレストランに２人で来るのは久しぶりだと思い、1人は最近来たばかりだと言う。
さて、その真相は？
いや、これはどんでん返しは期待しない方がいい。良い意味で。

「雨降る夜に」
これも短いお話。ある1人の男の家に雨の日必ず訪れる訪問者。
その訪問者は男の家を図書館だと勘違いしているらしい。
本好きには良いかな＾＾

「動物園」
活気を失った動物園を助けにやってきたのは、動物に成り代われる能力を持った女性だった。その能力を持った人は他にもいて、ある日違う男に動物になる仕事を横取りされるのだが・・・。
動物になるまでの描写がすごい。映像が見えてくるようだった。飼育員のおじさんが良い味だしてる。変身(とは違うが)してる姿を少女に見破られそうになるのも面白い。

「送りの夏」
これが一番良かった。
１２歳(くらい)の女の子が主人公。家出した母親を追って訪ねた場所は異様な人たちが共同で生活していたという設定。車椅子に乗っているおばあさんや子供は皆にこやかな笑顔を浮かべているけれど石のように決して動かない。でも周りの人は皆その人達が生きている様に接する。主人公の少女はそれに戸惑いながらも、石のように動かない彼らと接していく。そしてここにいる人達の心の傷を見ることになる。最後には少女本人が成長していく様がとてもよかった。


ん?順番は違ったかも。でもこの作品は本当にお勧めです！！